【洋風壁装飾】モールディングの形状の種類と名前やボワズリーまで

西洋文化に詳しい王女『ロゼリィ』が解説する『西洋史』

Moeちゃん、今回はモールディングについてです。


モールディング、何回か今まで出てきましたが、種類などがあるのですか?


はい。それは古代や中世、またはルネサンス辺りから伝わってきた、かなり細かいいにしえの名称なのよ。


そ、そうなのですか?


心の準備は良いですか?
それでは、一緒に見ていきましょう。


モールディングとは

モールディングの資材

モールディングとは、壁や天井、扉・窓まわりなどの建材に、凹凸(段や曲線)を設け、陰影によって装飾性を高める技術やデザインのことです。

モールディングは「Molding」と記されたりしますが、本来の綴りは「Moulding」です。

現代では石膏で作られる場合が多いですが、プラスチックや木材、古典的な様式では石材などで作られたりもします。


このようなものです。


よく洋風建築で見かけるのです。



はい。現代の洋風住宅でも、モールディングが多く使われているのですよ。




とっても綺麗なのです!


では、モールディングの歴史と細かい名称や、壁やドアのモールディングについても見ていきましょう。


楽しみです!


モールディングの歴史と成り立ち

モールディングの起源は、紀元前7〜5世紀頃の古代ギリシャ神殿建築にあります。

当初は装飾というよりも、構造を視覚的に整理するための形態でした。

古代ローマでは、ギリシャ建築を継承・発展させ、モールディングを理論的・体系的に整理しました。

Molding

モールディングのルーツは、ギリシャ柱といって良いでしょう。


起源としては、古代ギリシャの時代に遡るのですね。


モールディングの種類と名称


1728年のモールディング建築表とされる、いにしえの資料です。


こ、これがいにしえの、、、
でも何が書いているのか…よく分かりません…


こちらも参考にしながら、古代ギリシャの視点からも読み解いていきましょう。


は、はい!


モールディングの種類は、主に
  • 凸型モールディング
  • 凹型モールディング
  • S字型モールディング
  • 装飾型モールディング
に分けられます。

凸型モールディング

オヴォロ(エチヌス)


オヴォロ(Ovolo)は、イタリア語で「小さな卵」という意味で、凸形のモールディング断面の一つです。


オヴォロ(Ovolo)またはエチヌス(Echinus)は、ほぼ平坦な円の4分の1から半分の断面のことです。

Ovolo

アニュレット(バンドルレット)


アニュレット(Annulet)、またはバンドルレット(Bandelette)は、小さな帯や平らなモールディングです。

Annulet

アストラガル


アストラガル(Astragal)は、半円形の凸型モールディングの一つで、古代ギリシャ柱から使われていました。


転じて現代では、2つのドアのうちの1つに取り付けられ、それらが合流する隙間を覆うものの名称となりました。

Astragal


あ、ドアのあの部分の名前ですか!


バゲット


バゲット(Baguette)は、細い半円形の凸型モールディングの一つです。

アストラガルより小さく、時には彫刻されたりしています。

トーラス


トーラス(Torus)、フランス語でトール(Tore)は、アストラガルより大きい円形モールディングです。

トーラス
時には柱のバーシスなどに存在し、葉や編みなどで装飾されることがあります。

参考リンク

イオニア柱では、一般に2つのトーラス型がスコティアで区切られ、アニュレットがあります。

抜粋リンク

トーラス、ドーナツ型ですね!


はい。でもドーナツとは語源は異なるのですよ?


え?そうなのですか?


凹型モールディング

カヴェット


カヴェット(Cavetto)は、イタリア語の「洞窟(cave)」に由来する、円形の一部である曲線形状を持つ凹形モールディング断面の一つです。

通常は約90度の曲線で、半円の凹形モールディングはスコティアと呼ばれます。

Cavetto


オヴォロやトーラスなどの凸型モールの間に挟まれることが多いです。
主に光と影の微妙な陰影グラデーションを作る役割があります。

スコティア


スコティア(Scotia)は、凹形モールディング断面の一つです。

下記のサイト様が分かりやすいです。

Scotia

転じて、現代では、壁と床のコーナーに丸みを出す建材を意味するようになっています。

現代の建築でのスコティアスコティア

S字型モールディング

オジー

オジー(Ogee)は「S字型」のことで、S字に曲がる複合曲線のモールディング断面です。

凸 → 凹、または凹 → 凸の形を取り、断面に柔らかさを出します。

多くの場合、コーニスや壁・柱の上端などに使われ、下記の
  • シーマ・レクタ
  • シーマ・リバーサ
はこのオジー形状を利用しています。

Ogee

シーマというのは「波状」という意味で、「S字型」のオジーに近いですが概念は異なるので理解しておきましょう。


シーマ・レクタ

シーマ・レクタは、オジー曲線の凸→凹(上が丸く下が凹む)タイプです。

シーマ・リバーサ

シーマ・リバーサは、オジー曲線の凹→凸(上が凹で下が丸い)タイプです。

装飾型モールディング

エッグアンドダーツ


エッグアンドダーツは、卵形(エッグ)と矢じり形(ダーツ)を交互に並べた古典装飾模様です。

主にイオニア式やコリント式の柱頭、コーニスなどに用いられます。

古代ギリシャに起源を持ち、古典建築を代表する連続文様のひとつです。

ビード・アンド・リール


ビード・アンド・リール(Bead and Reel)は、丸い珠状の装飾(ビード)と円盤状の装飾(リール)を交互に並べた文様です。

主にイオニア式やコリント式のモールディング装飾に見られます。

細かな連続模様として、縁取りや帯状装飾に使われたりします。

チャプレット


チャプレット(Chapelet)は、バゲットに、パールやリボン、月などの装飾が施されたものです。

ギロシェ


ギロシェ(Guilloche)は、帯状の中に連続する円や楕円が編み込まれたように交差する装飾文様です。

古代ギリシャやローマ建築のフリーズやモールディングにも用いられました。

幾何学的で反復性のある意匠が特徴の古典装飾で、後の時代にも模様として使われました。

コーナー成形モールディング

角を成形するモールディングも、古来から存在します。

フィレットとチャンファー
こちらは、中国の企業ですが、明確に解説されています。

フィレットとチャンファー

フィレット(2つの意味?)


フィレット(Fillet)は、主に直角などのコーナーに対して形成されるモールディングのことですが、元々は「細い平らな部分」を言いました。

しかし、機械工学・製図用語ではコーナーモールディングのこととして使われるようになり、転じて現代では、その意味として利用されたりします。

コーナーモールディングとしては凹型モールディングとして使われるケースが多いですが、凸型の場合も呼ばれます。

チャンファー


チャンファー(Chamfer)は、主に直角などのコーナーに対して形成されるモールディングのことです。

鋭利な角を削って、主に斜めの平面(45度)にする面取りのことですが、角度や平面に関しては、それ以外の場合も含まれたりします。


例えば、このような形状です。

Chamfer

思っていた以上に色々あるのです…


それでは、モールディングの具体的な応用を見てみましょう。


クラウンモールディング


クラウンモールディングは、壁と天井の取り合い部分に取り付ける装飾用のモールディングです。

室内の上部を強調し、空間に格式や立体感を与える効果があります。

断面はコーピングやオジー形状など、複合的なデザインが多いです。

コービング(コーブモールディング)

コービング(Coving)またはコーブモールディング(Cove molding)は、クラウンモールディングの凹型モールディング素材のことです。

こちらの建材
を見ると分かりやすいです。 

詳しい説明は、

こちらのサイト様
が、クラウンモールディングとの違いを解説されています。

腰壁パネルのモールディングの名称

ダドレール(チェアレール)


ダドレールは、壁の中段あたりに水平に取り付ける細いモールディングで、壁面を上下に分割する視覚的なラインとして働きます。

元々は、椅子の背が壁に当たるのを防ぐ保護材として発展しました。


ダドレールといえども、単純なものではありません。

モールディングは、何層にも渡って、細かく装飾されています。




ダド


ダドは、ダドレールから下部に設けられる仕上げ部分を指します。

装飾性だけでなく、壁の保護や素材の切り替えにも用いられます。

この部分は、
  • 腰板
  • 腰壁パネル(Wainscot)
などが置かれます。

腰板


腰壁パネル(ウェインスコット)


ダドレールの下にウェインスコットを配置する場合です。

ウェインスコットのモールディングを、パネルモールドと呼ばれます。

参考サイト

パネルモールド
パネルモールドは、このように一つのウェインスコットにいくつも並ぶ場合が多いです。


そして多くのモールディングは、一旦外側に凸型に張り出して、内部が二段以上で凹型になっています。


しかしほとんど張り出さない落ち着いたモールディングもありますが、内部は二段以上で凹型になっています。

モールディングとオーナメント
モールディングとオーナメントを組み合わせることで、一気に装飾度が上がります。

モールディングの内側に、オーナメント装飾を組み込む形になります。

Style Kユニバーシス

ボワズリー装飾

このように、オーナメントや彫刻を施したモールディングを、ボワズリーといいます。

Boiserie

バロック・ロココ的な感じですね。


そうですね。ボワズリーは特徴のある装飾で、その頃から広まったとされています。


ベースボード


ベースボードは、壁と床の境目に取り付ける巾木のことです。

壁の最下部を保護し、仕上げの見切りとして機能します。

シンプルなものから装飾的なものまでさまざまな形状があります。

ドアのモールディングの名称

ボレクション


ボレクションは、壁面よりも前に張り出すように取り付ける立体的なモールディングです。

扉をはじめ、暖炉まわりや壁パネルの縁取りにも用いられます。

ケーシングモールディング


ケーシングモールディングは、ドアや窓の開口部まわりに取り付けるモールディング資材です。

壁と枠の取り合いを美しく納めるとともに、仕上げを整える役割があり、シンプルなものから装飾的なものまで幅広いデザインがあります。

こ…こんなにあったのですね…


これでよく建築資材業者などが提示しているパターンの名前の由来がわかりましたね。


例えば、以下のような業者様です。

ミカオ建築館みはしショップアルデコ

モールディング用語を知っていると、だいたいどんな形かイメージ出来ました。


ギリシャ様式からの歴史を知ると面白いですよね。


あと、フィレットの意味を分かっていないと混同するところでした。


古典建築では「平たい細い部分」ですが、現代建築ではコーナーモールディングという意味で使われるので注意ですね。



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