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Moeちゃん、前回は内壁についてお勉強しましたが、今度は天井と屋根についてよ。
はい、お願いします。
古代ギリシャの天井と屋根(前9〜前1世紀)
ギリシャ神殿の天井と屋根

パルテノン神殿
古代ギリシャといえば、神殿が有名ですね。
そうですね。パルテノン神殿やアポロ神殿が有名ですね。
でも、確か遺跡を見ても屋根がなかった記憶があるのです…
良いところに着目しましたね。Moeちゃん、どうして屋根がないと思いますか?
元々なかったのは考えにくいので…崩れ落ちた…とかですか?
そうですね。ではなぜ崩れ落ちたと思いますか?
石の重量とか…ですか?
答えは…天井は木造だったからです。
木造…ですか?それは意外なのです。。
木製梁あらわし天井と瓦屋根
ギリシャ神殿もその一つで、天井板の無い梁あらわし天井だったと見られます。
Encyclopaedia Britannica
に、
「トラスは、おそらく紀元前2500年頃の青銅器時代初期に原始的な湖の住居で最初に使用されました。最初のトラスは木材で作られました。ギリシャ人は屋根にトラスを広く使用し、ヨーロッパの中世にはさまざまな建設目的に使用されました。」
とあり、木造トラス構造が使われていた可能性もありますが、ギリシャ神殿に使われていたという完全な情報は見つかりませんでした。
とりあえずはギリシャ神殿の天井は木造だった、ということですね。
残っている遺跡は、屋根が抜けていますが、天井や屋根瓦が落ちて石の柱だけが残ったからです。

アメリカのナッシュビルに、再現されたレプリカがあるわ。
これは…まさにパルテノン神殿なのです。
ナッシュビル
そして屋根のテラコッタ瓦を再現したプラモデルもあります。
プラモデル
また、テラコッタ瓦については、
こちらの記事
にて、詳しく書いていこうと思います。
プラモデルがあると分かりやすいですね。ただプラモデルの方は天井梁がない…?
…ように見えますが、よく見ると壁上に穴があるので、そこに嵌め込むのかもしれませんね…。
参考リンク
ちなみにパルテノン、パンテオン、名前が似てますが、何か関連性はあるのですか?
パルテノンは「parthenos」で「処女・乙女」という意味で、パンテオンは「pan」が「すべて」で 「theos」は「神」で 「すべての神々の神殿」という意味で、関連性はないです。
古代ギリシャの一般住宅の天井と屋根
簡素的な木製梁あらわし天井と瓦屋根
その中庭を「aithrio」(アイスリオ?エシリオ?)と呼ばれ、後述の古代ローマのアトリウムに発展していきました。
参考リンク
こちらのサイト様
に古代ギリシャ住宅の3Dが公開されていますが、大体このようなイメージかもしれないですね。
古代ギリシャで既にこのような住居が成立していたのですか?
そう考えて良いかと思います。
アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群
を見ると、既に切妻屋根の住居が確認出来ます。
あと、スコットランドに残る新石器時代の石造の集落遺跡であった
スカラプレイ
から推定すると、ギリシャ文明ではそれくらいの完成度が既にあったと推測できますね。
なるほど。そんな気がしてきました。
参考リンク参考リンク
しかし茅葺き屋根は、主に農村部での住居で利用されていた可能性が高く、古代ギリシャ(後期)や古代ローマなどの文明化での都市部では少なかった、あるいは見られなかったのではと考えられます。
古代ギリシャ(後期)??
こちらのサイト
に、
「ギリシャの古時代の最初の瓦はコリント周辺の非常に小さな地域で記録されています。そこでは、紀元前700年から650年の間に、アポロとポセイドンの2つの寺院の茅葺き屋根の代わりに焼きたタイルが始まりました。」
と記述がありますので、ギリシャ文明の最初の頃は、その周辺の屋根は茅葺き屋根だったという可能性が高く、この古代ギリシャ文明から瓦屋根文化が徐々に広まっていったものと思われます。
なるほど、瓦(テラコッタ瓦)の発祥はギリシャ文明時の可能性が高いのですね。
はい。一般的にはギリシャ文明時に出来たと考えられているので、話が繋がりましたね。
茅葺き屋根と瓦の屋根が繋がりました。
古代ローマの天井と屋根(前3世紀〜5世紀)
古代ローマの公共施設の天井と屋根
石造ドーム天井

パンテオン
古代ローマの一般住宅の天井と屋根
ローマン瓦

現代のアトリウムのルーツ

古代ローマのアトリウム
アトリウムは、古代ローマの邸宅の「中庭を囲んだ広間」を指す言葉で、現代建築でホテルやオフィスビルのエントランスホールなどに見られる、ガラス屋根などで覆われた開放的な「吹き抜け空間」のルーツとなりました。
中世ヨーロッパの天井と屋根(5〜15世紀)
中世ヨーロッパの教会の天井と屋根
石造やレンガのヴォールト
こちらの記事
にまとめています。
中世・近世の一般住宅(5〜18世紀)
- 木造小屋組(梁・トラス構造)
- 切妻屋根
という形式でした。
では、天井と屋根を詳しく見て行きましょう。
はい。
中世・近世ヨーロッパの一般住宅の天井
木造小屋組
- 洋風小屋組(洋小屋組)
- 和風小屋組(和小屋組)
ヨーロッパで使用されていた構造は洋風小屋組の方で、トラス構造は洋風小屋組の一部になります。
洋風小屋組(洋小屋組)

- a:陸梁(ろくばり)
- b:吊り束(つりづか)
- c:方杖(ほうづえ)
- d:合掌(がっしょう)
- e:母屋(もや)
- f:軒桁(のきげた)
- g:棟束(むねづか)
- h:棟木(むなぎ)
- i:垂木(たるき)
棟束は、真束(しんづか)とも言われます。
和風小屋組(和小屋組)

- a:小屋梁(こやばり)
- b:棟束(むねづか)
- c:小屋束(こやづか)
- d:貫(ぬき)
- e:棟木(むなぎ)
- f:垂木(たるき)
- g:母屋(もや)
- h:軒桁(のきげた)
棟束は、真束(しんづか)とも言われます。
トラス構造
- d(合掌)
- g(棟束)
- c(方杖)
合掌(がっしょう)
棟束(むねづか)
方杖(ほうづえ)
なるほどです。小屋組とトラス構造、理解しました。
中世・近世ヨーロッパの一般住宅の屋根
切妻屋根
レンガやスレート屋根

都市部では漆喰やレンガ壁の家が多く、特に北ヨーロッパでは木骨組みで間を漆喰やレンガで埋めたハーフティンバーが見られ、防火のため屋根に瓦やスレートなどで仕上げました。
こちらのサイト様
にも上手くまとめられています。

茅葺き屋根

参考リンク

日本だけのイメージがありましたが、ヨーロッパにも茅葺き屋根があったのですか?
はい。茅葺き屋根はヨーロッパにも普通にありました。なので茅葺き屋根は、日本固有のものではないのですよ。
ルネサンスの天井と屋根(15〜16世紀)
ルネサンスの教会や宮殿の天井と屋根
格天井とフレスコ画
格天井は古代ギリシャから存在はしましたが、ギリシャ神殿やパンテオン、そしてロマネスクのピサ大聖堂など一部でした。
ルネサンスでは重要視されるようになり、格天井の格間にはフレスコ画が描かれたりと、天井自体が芸術作品としての役割を持つ時代になってきます。
ルネサンスは「再生」という意味で、古代ギリシャ・ローマ文化を再評価し復興した時代なため、格天井の格子にはギリシャ神殿の細かい模様を思わせる装飾が施されています。


ヴェッキオ宮殿 500人広場
凄い天井ですね。これはどのような構造になっているのですか?
そして、格子内部(凹み部分)は、木製のパネルを嵌め込み、表面に漆喰を塗り、その上にフレスコ画を描くといった形と見られます。
バロックの天井と屋根(17世紀)
バロックの教会や宮殿の天井と屋根
化粧漆喰と金箔ギルティング

Wikipedia「Stacco」(Author:Skarabeusz)
化粧漆喰(スタッコとも言われます)や金箔装飾(ギルティングと言います)は、ルネサンス期に既に存在していましたが、バロック時代には最盛期としてメインの装飾要素の一つとなりました。
かなり派手で細かい装飾になりましたね。
金箔ギルティングも多く使われるようになって美麗な見た目になりましたね。
あの天井の細かい装飾はどうやって作ってるのですか?
あれは、化粧漆喰と呼ばれる手法ですよ。
化粧漆喰…?
化粧漆喰はスタッコとも呼ばれ、漆喰で装飾を描く手法です。
漆喰でこんな装飾が作れるのですね!
ロココの天井と屋根(18世紀)
ロココの教会や宮殿の天井と屋根

鏡やモールディング
鏡やモールディングの取り入れも多くなり、現代のロココ家具へと繋がります。
現代で「バロック調家具」というのはあまり聞かず、「ロココ調家具」というのはよく聞くので、そういった意味でも、より日常的・サロン的概念が伝えられたのかもしれませんね。
ロカイユ装飾とアラベスク
神話や英雄や宗教劇や天使などドラマチックな構図のバロックから、貝殻(ロカイユ)や蔓植物や花束や小鳥やリボンなど身近で軽快なモチーフとなりました。
色彩も、深い赤や金など重厚で高コントラストから、パステルカラーを中心に変わります。
ラッフルリーフ
参考リンク
参考リンク
こうしてみると、バロックとロココの違いが分かりますね。
まだまだあるわよ。次は絵画を見ていきましょ。
近代ヨーロッパ(19世紀)
フランス革命と装飾文化の衰退
豪華なフレスコ画や装飾的な漆喰細工は減少し、公共建築物では、古代ローマのバシリカ様式に倣った、装飾を抑えた格天井などが採用されました。
イギリスの産業革命
古代ギリシャ・ローマ時代の建築様式を再復刻する新古典主義や、公共建築などでは引き続きヴォールト天井も使われたりもしますが、基本的に構造は平天井が中心になりました。
産業革命については。
こちらの記事
で解説しています。
これにより、
- 大ホール
- 駅舎
- 工場
- 博覧会場
- 市場
このような天井は、それまでの隠すもの(漆喰・格天井・装飾)ではなく、鉄骨やトラスなどを天井空間として美しく見せられる開放的なものとなり、のちのモダン建築につながります。
セント・パンクラス駅

原口秀昭先生参考文献
フランスでのRC造の発明
メゾン・コワニェ
RCはフランスで生まれ、鉄骨より50年ほど遅れ、広まるのは20世紀になってからですが、世界で最初のRC造と見られる建物がメゾン・コワニェです。

Wikipedia「François Coignet」Author:Eric Bajart
サント・マルグリット・デュ・ヴェシネ教会
そしてこれは日本ではかなりレアな情報ですが…

「Église Sainte-Marguerite du Vésinet」Author:Henry SALOMÉ
参考リンク参考リンク
こ、これはレア情報ですね…
この教会が完成したのが1855年で、先ほどのメゾンコワニエが建てられたのが1853年なので、本当に色々と研究中だったというのが伺えますね。
とってもとっても奥深いです。。。
ただし…
ただし?
当時の鉄筋コンクリートは現在の鉄筋コンクリートとはまた少し異なっていて、鉄筋コンクリートは後のモニエやアンヌビック、ペレなど、色んな建築家によって徐々に確立されていったとも言われています。
奥深きRCなのです…。
現代ヨーロッパ(20世紀以降)
平屋根(陸屋根)の普及
モダニズムの思想
中でも、
- 単純で明確な形態
- 直線、垂直・水平の配置
- 自由な平面
- 自由な立面
- 水平連続窓
- 屋上庭園
- 床
- 天井
- 壁
- 最小限の柱
水平スラブの普及
RCの登場により、水平スラブが成立するようになったため、勾配を付けずに水平な屋根を作れるようになりました。
スラブは、語源はもともと「平板」「石板」を意味し、凹凸のない平坦な板を指しますが、現代ではコンクリートスラブのことをいい、鉄筋コンクリートで作られた床や屋根の平らな板状の部材のことです。
内容としては、コンクリートで固められ、強度を保つために鉄筋が格子状に埋め込まれています。
水平に設置するため水平スラブと呼ばれ、水平スラブには、床スラブや屋根スラブなどがあります。
これにより、平屋根+屋上利用などが可能になりました。
ちなみに屋根には雨水の滞留や不連続部からの浸入を防ぐために勾配が不可欠で、雨水を排水溝(ドレン)へ流すための1/100程度のわずかな傾斜がつけられています。
天井の構造と材質
現代の天井の種類と構造
- 竿縁天井(平行木の一般和室天井)
- 目透かし天井(隙間継ぎ目の天井)
- 網代天井(網状に編んだ装飾天井)
- 掛込天井(室内軒下天井)
- 組天井(木材を格子状に組んだ天井)
- 片流れ天井(斜め天井)
- 腰折天井(中央が水平で両端が傾斜)
- 舟底天井・屋形天井(逆V形と強調)
- 折り上げ天井(中央部分を高く)
挙げてみると色々な種類があるのですね。
吊り天井(二重天井)
天井裏に照明や空調などの設備スペースを確保できる機能性や、デザインの柔軟性がメリットです。
当初は施工は簡素に留めている・引っ掛けているだけなど揺れに対して強度がある状態ではなかったようですが、地震時に天井板が落下するリスクがあり、2014年の基準改正以降、一定の安全基準が設けられ、詳細は後述しますが、現在では野縁を柱に固定したりするなど、昔とは形態は異なるようです。
Wikipedia参考リンク参考リンク
直天井
参考リンク
また、天井高を最大限に確保でき、コストを抑えられる一方、配管・配線などの設備が露出したり、上階からの音(遮音性)が伝わりやすいという特徴があります。
竿縁天井や目透かし天井の場合はどちらですか?
上記の形式ですと直天井になりそうですが、おそらくこれらは上階があったり平屋根のように屋根裏が無い場合の概念かと思われます。また、竿縁天井や目透かし天井のような天井を、板張り天井と言います。
その他特殊な天井
スケルトン天井
ハイテク建築を思い出させるような見た目の工業的なデザインで、断熱・吸音には別途配慮が必要になります。
グリッド天井(システム天井)
空調や配線の変更に強く、メンテナンスが簡単と言われています。
基本的には吊り天井の構造なのですね。
吊り天井の構造と部材
さぁ、それでは現代主流の吊り天井を深掘りしていくわよ。
西洋文化の研究サイトのはずなのに、ここまで深掘りするの凄いです。
梁
その梁に、吊木を吊るして止めます。
吊るすと言っても固定する形です。
吊木
野縁受け
野縁を支える横方向の基盤となる部材です。
野縁
石膏ボードなどの天井仕上げ材を直接取り付けるための下地材で、野縁受けと直交して配置されます。
参考サイト
石膏ボードや岩綿吸音板
石膏ボードなどの仕上げ材で、野縁に取り付けます。
用途やデザインに応じて選ばれます。
岩綿吸音板(がんめんきゅうおんばん)は、吸音性能が高く、オフィスや学校、病院などでよく使用されます。
また、石膏ボードの貼り方は、
こちらのサイト様
が解説されています。
壁紙(必要に応じて)
以上です。どうですか?古代から現代までの天井と屋根の流れが分かりましたか?
なんだか、大工さんになれそうな気がします。
メイドさんから大工さんですか?それは凄いイメチェンですが…。でもMoeちゃんはメイドさんの方がお似合いですよ。
それなら、メイドのままでいます。でも今回は、建物の見えない部分まで分かった気がします。
そうね。見えない部分を知ることによって、その人の良さを知ることもあるわ。
建物も人間だったのですね。
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